必見!日本最大の問題が5分で分かる、大前研一の「人口減少の衝撃」


大前研一の2014年総括が少しバズっていましたが、やはりいきなりYouTubeで60分・120分も視聴するのは取っ付きづらいのかもしれません。今回取り上げる「人口減少の衝撃」は2014年の経済総括以上に知ってもらいたい内容なので、重要なポイントを書き起こしてまとめようと思います。ポイントを絞ってまとめます。(想定読了時間は5分)

※なお、ソースは全て、YouTubeで公開されている講義「人口減少の衝撃」(©BBT総合研究所)であり、個人的な見解は挟まないようにしています。




■人口問題の現状



-「戸籍制度」が人口減少の最大の問題点?!


人口減少に関して、日本の最大の問題は戸籍である。できちゃった結婚が半数以上で、その際に戸籍を入れることが大きな縛りになっている。そのため堕胎が多くなっている、という推計がある。ちなみに、フランスやスウェーデンは40年前に戸籍を撤廃している(事実婚が差別なく認められている)。世界を見ても中国、韓国、日本にしか戸籍はない。


-人口ボーナス期から人口オーナス期へ


団塊の世代の時は人口ボーナスがあった。人口ボーナス期であれば、国が借金を抱えていてもその借金を返す人(労働人口)が大きかったが、ここ数年でピークになり人口オーナス期に突入。しかも減り方が激しいので、税金を払う人口が激減する。すると、国の借金を返せなくなり国債暴落に繋がる。にも関わらず、日本は何一つ手を打っていないのが現状。

-自分たちはどうするべきか?を考える


この問題を制度と数字の面からみて、自分の会社、自分自身としてどう自衛するかを考える。どうすればよいかは明確だが日本が解決策をとることはほぼない。


-人口減少


人口はこれから下がるのみ。2040年には高齢者+子供の人口が労働人口を上回る。つまり税金を負担する人口よりも税金を負担してもらう側の人口が大きくなる。65歳以上が40%超になる。これでは国が維持できない。来年の経済がどうなるかは分からなくても、人口動態は今後どうなるかが分かる。


-人口ピラミッドを見てみる


2010年→団塊の世代(60歳-64歳)、団塊ジュニア世代(35歳-39歳)
2025年→団塊の世代(75歳-79歳)、団塊ジュニア世代(50歳-54歳)
2040年→団塊の世代(85歳-)、団塊ジュニア世代(65歳-69歳)
2060年→団塊ジュニア世代(85歳)
であり、団塊ジュニア世代の下(団塊ジュニアジュニア世代)にはピークとなる世代がない。


■人口減少&高齢化の3つの影響



-労働人口の減少


労働人口が減少することになり、潜在成長率が下がる。その結果、税金・税収も下がる。


-消費者数の減少

消費者が減少し、企業として売る相手が減ってしまう。


-地域人口の減少

消失する地域・自治体が出てくる。自治体は人口1万人を切ると維持できなくなる。(サービス、病院などが維持できなくなるため)
これらがトリガーとなり、国債暴落に繋がる。いつ暴落するかは分からない。来週かもしれないし数年後かもしれないが、物理現象なので必ず起こる。返す人がいない借金を持っているということはあり得ない。


■労働力不足



-高齢者や女性が働いても労働力不足はカバーできない!


労働力人口は1999年の6,793万人がピークで、今は、6,577万人。非労働力人口は、高齢者・子供・専業主婦などで約4,500万人いる。仮に働く高齢者と女性が増えたとしても、2030年には約300万人の労働人口不足、2060年には約1,800万人の労働人口不足となる。


-労働力人口不足による経済縮小の解決策は?


人口を増やすなら子供を増やすか移民で増やすという選択肢があるが、安倍首相の元では移民は行われないだろう。地域活性化という選択肢もあるが、国策で地方を再生した例は世界にほとんどない。


-成長しなくてもいい?


成長しなければ、税収が落ち込み、国債暴落、ハイパーインフレに繋がる。


■人口増加



-どうやって人口を増やすか?


他国はどういう対策をしているか。出生率改善(自然増)と移民政策(社会増)の両方を行っている国が多い。ただし、日本は自然増だけしかしておらず、出生率改善もできていないため良くない状態。


-出生率


日本の出生率はOECDの中でも下位に位置している。(1.41)OECD平均は1.71。スウェーデンとフランスは1.5近くあった出生率を2.0にまで回復させた。これは政策をうった成果。


-婚外子


婚外子の割合は日本が2.1%。フランスは52.6%、英国は43.7%、スウェーデンは54.7%、ドイツは32.7%であり、日本が異様に低い。フランスは元々11%台で、制度・努力によって向上させた。


-出生率を上げたいならお金が必要!


家族関係政府支出の対GDP比を見てみると、フランスは3.20%、英国は3.83%、スウェーデンは3.76%。対して日本はたったの0.96%。出生率を上げようと思ったらお金が必要。

日本では育児給付があるが、保育実費と大学学費で正味マイナスになる。一方フランスでは、保育実費も大学学費もあまりかからない。そして育児給付は半端ない額を給付します。つまり、子供を産めば産むほど優遇される仕組み(N分N乗方式)


-フランスのN分N乗方式とは?


N分N乗方式とは所得税の課税方式の1つ。要は、子供を産めば産むほど、特に3人以上産めばそれだけ所得税が軽減される仕組み。

課税額の手順は以下、又はキャプチャ写真をチェック。




1.夫婦および親族等の所得を合算する
2.合算した所得金額を世帯の人数(N)で割る
 大人1人はN=1
 子供2人目までN=0.5で計算
 子供3人目以降はN=1で計算
3.所得控除を行う
4.税率をかける
5.4.で算出された金額に世帯の人数をかけ、税額を算出

フランスの具体例。


-出生率増加の施策


フランスでは、婚外子の差別撤廃、出生手当、出産費用無料、産休所得補償、保育手当、N分N乗方式による減税など。
スウェーデンでは、婚外子の法的差別の撤廃、夫婦別姓・同姓の選択の自由、育児休業制度、育児休業中所得保障など。一方日本では、夫婦別姓導入でも反対が多い、婚外子への社会的な差別は未だ残る、財源の問題、などが挙げられる。


-戸籍制度


戸籍制度は明治時代の法律がそのままある。皇居と同じところに本籍を移している人が300人くらいおり、富士山の頂上に本籍を移している人もいる。これでは制度がなくてもよい。住民票があれば事足りるのに戸籍がある必要はない。


-できちゃった婚


日本では「できちゃった婚」の割合が高まっているが、戸籍が「できちゃった婚」の最大の要因と考えられる。そして、結婚して籍を入れることが不都合だった場合に堕胎する、ということの方が深刻である。


■移民政策


高齢者や女性活用だけでは絶対数が足りない。出生率上昇がダメなら移民を受け入れるしかない。


-OECD諸国の移民人口比率


日本は1.1%で、先進国の中でも最低レベル。日本は、人口が減っており出生率が上がっていないにも関わらず移民を受け入れていない。


-他国の事例


シンガポールは、移民の受け入れによって人口を増加させ、労働力を確保している。

米国は移民(と不法移民)が流入している。特に外国人留学生など高度人材の集中によって支えられている。日本も外国人留学生を育成・文化を学んでもらって国内で働いてもらうことを検討すべき。

英国は、過去の移民政策の反省を生かして、高度人材に集中した「選択的移民政策」を実施している。


-移民政策は3つのステージに分けて進める必要がある


第1ステージは、世界から優秀な人材を年間1000人ずつ呼びこむ。
第2ステージは、医師、看護師、介護福祉士、弁護士、消防士などの担い手を呼びこむ。
第3ステージは、建設労働者や漁業者など厳しい仕事の担い手を呼びこむ。


■地方消滅



-地方創生


人口減少の環境下で、地方創生など反転できるわけがない。
東京圏への一極集中が強まっている。
2040年までに約半数の自治体が消滅すると予測されている。
安倍内閣は地方活性化に取り組みだしたが、国策で地方再生できた例はほとんどなく、政府は「地方創生」という名のバラマキをやめるべきである。


-産業空洞化


これまで地方分散政策を進めた結果、製造業は地方に分散され、地方でも雇用が吸収されたが、その製造業が海外シフトをすすめ、産業空洞化の影響をうけることとなった。
製造業が落ち込みを、サービス業(第3次産業)で吸収できていないため、地方全体が落ち込む結果となっている。


-メガシティ


世界ではメガシティが振興しており、むしろ再生を図るべきは「都市」である。日本の大都市は、鉄道インフラが発達しているため、容積率緩和でさらに強化する余地がある。私鉄のおかげで通勤圏が広がった。(日本特有)

もっと都会の中に住ませて通勤時間の軽減ができる。そのためには容積率緩和が重要。容積率が緩和すれば、建設ラッシュが起き、世界からマネーが集まるようになる。


-道州制


官公需だけ地方にくるが、税金注入が終わればそれまで。地方を本当に活性化させたいのであれば、中央集権の統治機構を抜本から作り変える必要がある。


■企業はどうするか?



-人口ボーナスの新興国に目を向ける


視点を世界に向けると、日本は人口が減少する一方、新興国を中心に世界は人口が増加傾向が続く。このまま日本にいてもお客さんが減るだけ。多くの新興国では、今後10~20年の間に生産年齢人口が全人口に占める割合が高まりピークを迎える。人口ボーナスのある、デカイマーケットにいくのがコツ。


-ヤマハの川上源一氏


産婦人科で子供が生まれるところに立ち会って、「いずれ大きくなったらピアノを」という営業をした。このように、今企業は、これから人口ボーナスを迎える国に行き、「産婦人科で商品を売り込める」かが決め手となる。


■まとめ


社会が変わらなければ、人口動態が示す通りの未来がやってくるだけである。


-政府はどうするべきか


子供を増やす、移民を受け入れる、地方活性化。


-企業・個人はどうするべきか


未来が明るい国に目を向ける。人口ボーナスが訪れる国は、政治さえ安定すれば未来は明るい。

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